予防について

避妊・去勢

不妊手術は一生の病気予防につながります

不妊手術を行うことで、子宮・卵巣・精巣等の生殖器の病気の発生を防ぐだけでなく、性ホルモンの影響で発症する乳腺腫瘍・前立腺肥大・会陰ヘルニア等の病気の発生を劇的に減少させることが出来ます。

また、発情に伴うストレスを低減し、精神的に安定した穏やかな状態で一生を過ごすことが出来るようになります。
手術は完全予約制となっていますので、予め、お電話等でご相談ください。

メリット・デメリット

避妊手術(女の子)

メリット
  • 早期発見が必要な病気を予防することができる
  • 早期手術により、乳腺腫瘍の発生率が大幅に減らすことができる
    乳腺腫瘍のうち、犬では約50%、猫では約90%が悪性のがんです。犬の避妊手術の時期による乳腺腫瘍の発生率は、初回発情前0.05%、初回発情後8%、2回以上26%と報告されています。猫の避妊手術の時期による乳がん発生率は、生後6か月未満91%、1歳未満86%減少すると報告されています。
  • 中年以上の雌ウサギにおいて、子宮がんの発生による失血死を防ぐことができる
デメリット
  • 新陳代謝の低下により太りやすくなる(手術直後から適切な食事管理を行ことで予防可能)

去勢手術(男の子)

メリット
  • 男性ホルモンの影響で起こる会陰ヘルニアや肛門周囲腺腫・前立腺肥大の発生を予防できる
  • 精巣が陰嚢に降りてこずに腹腔内に停留してしまう潜在陰睾の場合は、放置しておくと精巣腫瘍となる確率が高く、1歳ごろまでに開腹手術による摘出を行うことで防ぐことができる
  • マーキングや縄張り行動による他犬への攻撃性を予防できる
デメリット
  • 新陳代謝の低下により太りやすくなる(手術直後から適切な食事管理を行ことで予防可能)

不妊手術を行う時期

適した時期

麻酔技術の進歩等により、犬猫では生後2か月、体重で1kg前後に達していれば、概ね手術は可能です。ですが、特別な事情がない限り、初回の発情が来る前の生後6か月前後で行うことをお勧めしています。

小型犬では、乳歯遺残が多く認められるため、永久歯への生え変わりの終了時期である生後7か月まで待ってから不妊手術を行います。乳歯遺残がある場合は、同時に乳歯の抜歯を行うことをお勧めしています。

適さない時期

雌では、発情中は、子宮と卵巣の血管が平常時よりも発達しており、手術時の出血が多くなる傾向があります。
また、犬では発情終了から1か月以内に手術を行った場合には、体内のホルモンバランスが出産後と同様の状態になり、乳汁分泌が始まることがあります。
これらのことから、発情中から発情後1か月以内は、避妊手術を避けることをお勧めしています。

予防接種

ワクチン接種は、個々の動物を重い感染症から守るためだけではなく、
集団で感染症に対する免疫を獲得することで、地域の感染症の蔓延を防ぐという役割を持ちます。

狂犬病予防接種

狂犬病は、ヒトを含めた哺乳動物全般に感染する致死率約100%の感染症です。狂犬病予防法による飼育犬への予防接種の徹底により、日本国内では1957年のヒトと犬の発生を最後に感染は確認されていません。
しかし、ヒト・犬・野生動物での感染は、世界中で常時確認されています。海外からのエキゾチックペットの輸入増加や海外の船舶に乗船してきた犬の無検疫での上陸等の問題から、国内でもいつ再発生してもおかしくない状況と考えられています。

狂犬病予防法では、犬への年1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。

混合ワクチン

犬・猫のワクチンで一般的な混合ワクチンは、複数の感染症を一度に予防できるようになっています。また、ワクチンには「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の2種類があります。

  • コアワクチン:生活環境に関わらず、すべての動物に接種することが推奨されているワクチン
  • ノンコアワクチン:生活環境や個々の動物の感染リスクに応じて、接種を考慮するワクチン

犬のワクチン

コア
ワクチン
犬パルボウイルス
犬ジステンパーウイルス
犬アデノウイルスⅡ型
ノンコア
ワクチン
犬パラインフルエンザウイルス
犬コロナウイルス
レプトスピラ

猫のワクチン

コア
ワクチン
猫パルボウイルス
猫ヘルペスウイルス
猫カリシウイルス
ノンコア
ワクチン
猫白血病ウイルス
猫免疫不全ウイルス
猫クラミジア

当院のワクチンの特徴

当院では、犬・猫ともに副反応が起きにくいワクチンを採用しています。

  • 犬のワクチン

    ワクチン製造時に使用される牛血清アルブミン(BSA)の残留や安定化剤として使用されているゼラチンがワクチンアレルギーの原因になっていることが証明されています。当院では、これらの異種タンパクの使用を低減したワクチンを採用しています。

  • 猫のワクチン

    猫では、ワクチンに含まれるアジュバント(免疫増強剤)が「注射部位肉腫」の原因の一つと考えられています。当院で採用している猫の3種混合ワクチンは、アジュバント不使用の生ワクチンです。

フィラリア症・
ノミ・マダニ予防

フィラリア症予防

フィラリア症について

フィラリア症は、主に蚊が媒介し犬の心臓に寄生する寄生虫症ですが、猫とフェレットにも感染します。
猫の体内にフィラリアの仔虫が侵入すると、多くの場合は心臓に達する前に肺で死に絶えますが、死んだ仔虫は肺に炎症を引き起こし、咳や呼吸困難、突然死を引き起こすことがあります。10~20%の猫に感染が認められるとの報告もあります。

犬のフィラリア症は、予防の普及により過去の病気と考えられているかもしれません。しかし当院でのフィラリア抗原検査では、2年に1頭程度の発生が認められ、重篤な感染による腹水貯留から死亡した例もあります。

フィラリアの予防方法

定期的な予防薬の投与で確実に感染を防ぐことができます。
投薬期間は蚊の発生が始まって1ヵ月後から感染が終わって1ヵ月後まで、1ヵ月間隔で毎月の投薬を欠かさず行うことが大切です。蚊がいない時期でも油断は禁物です。途中でやめてしまったり、自己流で投薬をすると、感染してしまう場合があります。
危険な病気ではありますが、簡単な検査と予防で防げる病気です。室内飼育の場合でも、適切な方法でしっかり予防してあげましょう。

ノミ・マダニ予防

ノミについて

ネコノミは、猫以外にヒトや犬にも感染します。一旦、室内に持ち込んでしまうと、ノミの卵や幼虫が、すぐにカーペットなどに侵入し、新たな発生源となります。動物の体に寄生するだけでなく、ヒトの服や靴に付着して持ち込まれることがあり、マンションの高層階に住み、完全室内飼育の猫に大量にノミが寄生していた例もあります。

マダニについて

マダニは以前、貧血を起こす感染症(犬のバベシア症・猫のヘモプラズマ症)を媒介することで問題視されていました。しかし近年では、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を媒介することが問題視されています。SFTSウイルスを保有しているマダニは全国で確認されており、感染するのはヒトだけではなく、犬と猫でも報告されています。

これまで、感染は寄生したSFTSウイルス保有マダニに直接咬まれて起こる経路のみと思われてきました。しかし、野良猫に咬まれて感染した例や、感染した飼い犬の介護により感染した例が報告され、伴侶動物からヒトへの感染が懸念されるようになりました。
これらの事実を踏まえ厚生労働省は、伴侶動物へのマダニ駆除剤の使用を推奨しています。

ノミ・マダニの予防法

ノミ・マダニは一度寄生されると、さまざまな種類の疾病リスクを高めるため、あらかじめ「付かない」ように予防しましょう。その際に、確実に予防するためにも、動物病院で駆除効果の高い医薬品を処方されることをおすすめします。
現在、ペットショップやホームセンターで売られている商品は医薬品ではなく、ノミやマダニを十分駆除できない可能性があります。当院では、ワンちゃんやネコちゃんの生活習慣、体質に合わせて液体、錠剤、スプレーなど最適なお薬や投与方法をご提案できるのが特徴です。

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